湖北のなら漬け
「なら漬けは好きですか?」
べっこう色をしていて、アルコールの風味がする少し大人なお漬物。
主に塩漬けした瓜、きゅうり、ダイコンといった野菜を酒粕やみりん粕で漬けて作ります。
古代より清酒の産地である奈良では、酒粕を利用した粕漬けが発達、「奈良で漬けられる漬物」ということから「なら漬け」と呼ばれるようになったと言われています。
実は、滋賀県の湖北地方でも昔から夏の時期には家庭でなら漬けを仕込む習慣があります。
湖北でも「なら漬け」作りの習慣があるのはなぜ?
昔から湖北地方で、なら漬けを漬ける習慣がある理由は老舗の「酒蔵」が身近にあり、酒粕やみりん粕が手に入る環境にあるからです。
木之本の北国街道には、2つの老舗酒蔵があります。日本酒好きには有名なお店で、地元民はもちろん、観光客にも人気です。
住所:滋賀県長浜市木之本町木之本990
TEL : 0749-82-3037
営業時間:9:00〜18:00
定休日:毎週水曜定休(元旦休業)
住所:滋賀県長浜市木之本町木之本1107
電話 :0749-82-2013
営業時間 :9:00 〜 18:00
定休日 :不定休
現代の人はみりん粕が手に入りにくいので、代用でざらめを使用する方が多いのですが、みりん粕は甘味の他に「旨味」が出るところがポイントになります。手に入る方はぜひ、みりん粕を使って昔ながらの製法で作ってみてください。
なら漬けレシピを公開します!
7月某日、山路酒造で「なら漬け仕込み」を教えていただきました。
早速、材料とレシピの紹介をします!
「瓜ときゅうりのなら漬け」
材料
・きゅうり
・瓜
・みりん粕
・酒粕
・蓋付きの容器
・野菜重量の倍の重石(2つに分けられるように用意すると便利)
・野菜重量の塩
作り方
1,瓜ときゅうりを洗う、きゅうりの全体に塩をまぶす。
2,瓜は両端のヘタの部分を切って、縦半分に切る
3,瓜の種、ワタをスプーンを使って取り除く
4,3の瓜の種、ワタをくり抜いたところのへこみに軽く塩を入れ(すり切れ1杯よりやや少なめ)、外側にも塩をつける
5,容器の下に塩を敷き、その上に4の瓜を塩を入れた方を上にして重ねて並べていく。
6,その上に、用意した瓜の重量の倍の重しをのせて蓋をする。5〜7日ほど冷暗所で保存。(3日ほどした頃に重石を半分にする)
7,6の瓜を容器から取り出し、日陰で半日〜1日干す(容器に入れていた時と反対面を上にする)
8,容器の底に酒粕を薄く敷く、その上にみりん粕をのせ、瓜を7のときの向きで並べる。その上に酒粕を敷く、みりん粕を敷く、瓜を並べる・・これを繰り返す(きゅうりも同様に並べていく)
9,最後に蓋をするように酒粕を敷いて、容器の蓋を閉める。浅漬けで食べる場合は冷暗所で約1ヶ月保存。少し切って食べてみて塩辛いようなら、さらに1〜2ヶ月くらい漬け込み、好みの味を探ると良い。
※2年漬けは1年後に野菜を取り出して、新しい酒粕とみりん粕で同じように容器に詰めて、さらにもう1年漬ける。
使用した「酒粕」と「みりん粕」の紹介
山路酒造の酒造りの過程でできる酒粕とみりん粕を使用しました。
夏頃に発売されるので、なら漬けを作る方はぜひご利用ください。
又、山路酒造が仕込んだなら漬けはお盆時期に店で購入することができます。
なら漬け作りで余った酒粕とみりん粕の使い方
開封後の酒粕とみりん粕は冷蔵庫で保管が可能です。
ここからは、なら漬けを作ったけど、酒粕とみりん粕が余ってしまった時の利用法をご紹介します。
■未使用の余った酒粕
・粕汁
〜野菜の他に豚肉を入れましたが、お好みで鮭などを入れても美味しく出来上がります〜
【その他】
・酒粕甘酒
・豆腐の酒粕味噌漬け
など
■未使用の余ったみりん粕
・ミックスジュース
〜バナナミックスジュースの上にはシナモンパウダーをトッピング。みりん粕ならではのコクが出て、バナナブレッドのような満足感がある1杯になります〜
【その他】
・みりん粕の団子
みりんを沸騰させる、倍の量のみりん粕を入れて、冷えたら団子にする
・みりん粕のショコラボール
みりん粕の団子にココアパウダーをかける
・鶏のみりん粕と味噌の漬け焼き
みりん粕、みりん、味噌で床を作り、そこに鶏肉(魚でも可)をしばらく漬け込み、焼く。
※焼く時は焦げないように粕を取ると良い。
■なら漬けを全部食べた後の酒粕とみりん粕の使い方
・魚や肉を漬ける
魚を3回ほど漬けて、最後に豚肉を漬けことができます。
(お好みで5日〜1週間程度)
もしくは、次回のなら漬けに再利用することもできます。
あなたもなら漬け作りにチャレンジしてみてください!
と、ここまで湖北で親しまれる「なら漬け」についてお伝えしてきました。
何はともあれ、まだ作ったことがない方は、ぜひレシピを参考に作ってみてくださいね。
湖北のお母さんたちも繰り返し作り、試行錯誤して自分の味を見つけていくそうですよ。
今回の記事がその第一歩を後押しするきっかけになればうれしいです。
また次回も湖北の伝統文化などをシェアしたいと思います!ではまた。